スローフードなスープ
インド家庭料理ラニのセットメニューの中には「本日のスープ」というメニューがございます。 もともとインド料理に特有なスープというものはありませんので、実はこれインド家庭料理ラニオリジナルなのです。 今まで日本国内でいろいろなインド料理レストランで食事しましたが、スープを出しているインド料理店は少数派ではないかと思います。
「本日の」スープなので、ほぼ日替わりでお出ししています。 この本日のスープ、どのスープもできあがるまで、最低でも3時間以上かかっています。スープに使用する食材に、冷凍の食材は一切使っていません。 新鮮な食材を丁寧に調理しています。化学調味料は一切使用していません。
一般にレストランで提供されるスープには、さまざまなスープがありますが、インド家庭料理ラニではインド料理の味にマッチした 幾種類かのスープを、冬は体が温まるチキンスープを中心に、夏は体を冷やすトマトスープ、豆のスープを 中心にお出ししています。スープの素などは一切使用せず手間隙をかけて、そして心をこめて作っています。
かぼちゃのスープ
かぼちゃは皮をむいて下茹でします。他に材料は、たまねぎ、トマト、にんにく、しょうがを使用します。
スパイスは、クミンシード、ベーリーフ、ライ、パプリカ、ターメリック、ホワイトペッパー、塩などなど。
ホールスパイスをサラダ油で炒め香りを出してから、材料を加え煮込むこと3時間半ほどでできあがりです。
かぼちゃの甘みを生かしたコクのあるスープです。
サンバル (スパイシーな南インドのスープ)
豆から作るスープです。ふたつ割の豆を使いますが、その呼び名はたくさんあります。
アルハル豆(arhar dal)、ピージョンピー(pigeon peas)、toor dal、tur dal、yellow split peasなど。豆とホールスパイス、塩を豆の形がなくなるまで、約2時間ほど煮込みます。お好みの野菜としょうが、パウダーのスパイスを加え
1時間ほど煮込みます。最後に具となる野菜を加え、野菜に火が通ればできあがりです。インドでは味噌汁のようなものなので、特に入れる野菜は決まっていません。その時家にあるもので作ります。
ほうれん草とチキンのスープ
鶏ガラを湯通しして水でよく洗う。なべにサラダ油を熱し、ベーリーフ、クミンシード、
メース、シナモンスティックなどの
ホールスパイスを炒め、香りを出す。にんにくを加えキツネ色になるまでよく炒め、さらにしょうがを加え炒める。
鶏ガラと水を入れる。塩、ブラックペッパー、ほうれん草を加える。
あくをていねいに取り除きながら、約8時間煮込む。
ていねいに濾す。写真ではわかりにくいですが、きれいな緑色のスープです。
ほうれん草からきれいなグリーンを出すのは、なかなか難しいのです。
ソヤビーンと野菜のスープ
なべにサラダ油を熱し、ホールスパイスとターメリックをいためます。
細かくきざんだ野菜と、ソヤビーンを加えよくいためます。牛乳と水を加え、2時間ほど煮込む。野菜の形がなくなってきたところで、ていねいにこす。
塩、ホワイトペッパーで味をととのえる。野菜とソヤビーンを食べやすい大きさに切って加え、30分ぐらい煮込む。ソヤビーンの良質なたんぱく質と、たっぷりの野菜が入ったとってもヘルシーなスープです。
きのこスープ
秋の味覚、きのこスープの登場です。マッシュルーム、しいたけ、えのき茸の3種類が入っています。
バターを溶かしホールスパイスを炒めます。香りがでたところで小麦粉を少々加えます。全てがよく混ざり合ったところで、牛乳と水を加え煮込みます。
1時間ほど煮込んだらていねいにこします。小さめに切った3種類のきのこを大量に加え約2時間煮込みます。
きのこの形がなくなってしまうので、仕上げに食べやすい大きさに切った、
3種類のきのこを更に大量に加えます。きのこに火が通ったら、塩、
ホワイトペッパーで味をととのえます。きのこの味と香りがたっぷりつまったスープです。
野菜スープ
にんにく、しょうが、タマネギ、じゃがいも、トマト、キャベツ、しいたけ、しめじ、
にんじん、なす、カリフラワーを細かく切って、2時間ほど煮込む。
塩、パプリカ、
ターメリック、
クミンシード
をサラダ油でいため、よく香りを出したものを煮込んだ野菜に加える。全体がよく混ざったら、スープをていねいにこす。
タマネギ、じゃがいも、トマト、キャベツ、しいたけ、しめじ、にんじん、なす、カリフラワーを小さく切って加え、30分ほど煮込む。
塩、ホワイトペッパーで味をととのえる。透明なスープに野菜のうまみがぎっしり詰まった、あっさり、さっぱり風味のスープです。
じゃがいものスープ
なべにバターを溶かし、ベーリーフ、コリアンダー、
にんにく、しょうが、たまねぎをじっくりと炒める。そこに少量のターメリックと、
大量のマッシュポテトを加え全体をなじませる。牛乳と水を加え、30分ほど弱火で煮込む。さらに牛乳を加え15分ほど煮込み、
塩、ホワイトペッパーで味をととのえ、ひと煮立ちしたらできあがり。お子様にも人気のやさしい味のスープ。
カリフラワーのスープ
カリフラワー、にんにく、しょうが、たまねぎを4時間煮込む。
ベーリーフ、クミンシード、
コリアンダーシード、
塩を加え更に4時間煮込んでから、ていねいにこす。牛乳を加え、塩、ホワイトペッパーで味をととのえ、ひと煮立ちしたらできあがり。
カリフラワーたっぷりのマイルドなスープです。カリフラワーの旬の時期(冬)に登場します。
チキンスープ
鶏ガラを湯通しして水でよく洗う。なべに水を入れ、そこに鶏ガラを入れて火にかける。
塩、クローブ、
コリアンダーシード、
ベーリーフ、ブラックペッパー(ホール)、
シナモンスティック、
メース、を加える。更に、しょうが、
にんにく、たまねぎ、ほうれんそう、パセリ、にんじんを切らないでまるごと加え、8時間から10時間ほど
あくを取り除きながら、ていねいに煮込む。ていねいにこして、仕上げに塩、
ブラックペッパーパウダー、生クリームなどで、味を調えてできあがり。
冬の定番、体を温めるチキンスープです。新鮮なチキンのうまみを生かしたスープです。
豆と野菜のスープ
豆は水で洗い、約3時間水に浸す。豆を火にかけ煮立たせる。たまねぎ、トマト、キャベツ、
にんにく、じゃがいも、ほうれん草を加え3時間ほど煮込む。最後にブラックペッパーパウダー、
ホワイトペッパー、
パプリカ、
コリアンダーパウダー、
クミンシードパウダー、
塩で味を調えてできあがり。野菜と豆のハーモニーが絶妙です。野菜は季節によって内容が変わることもあります。
トマトスープ
にんにくを炒め香りを出し、そこにしょうがと玉ねぎを加え炒める。なす、ピーマン、
にんじん、ししとう、キャベツを入れて30分煮る。ベーリーフ、
コリアンダーシード、
ブラックペッパー、
塩、更にミキサーにかけてペースト状になったトマトを加え3時間煮込む。
ていねいにこしてできあがり。トマトたっぷりのやや濃厚なスープです。
トマトの酸味が食欲をそそります。
じゃがいもとチキンのスープ
鶏ガラを湯通しして水でよく洗う。なべにサラダ油を熱し、
ホールスパイスと塩を炒め、香りを出す。にんにくを加えキツネ色になるまでよく炒め、さらにしょうが、たまねぎを加え炒める。
鶏ガラとじゃがいもを加え軽く炒めてから水を加え、あくをていねいに取り除きながら、約8時間煮込む。
ていねいにこす。具にBBQチキンのほぐし身と、食べやすい大きさに切ったじゃがいもを加え、
火が通るまで煮込む。
かぶのスープ
なべに水を入れ、たまねぎ、トマト、にんにく、しょうが、ピーマン、
にんじんと、根と葉と茎を細かくきざんだかぶ1kgを火にかける。
ベーリーフ、クミンシード、
コリアンダーシード、
塩を加え、4時間以上煮込んでから、ていねいにこす。
かぶをスライスしてスープに加え火が通ったら、塩、
ブラックペッパーパウダー
で味をととのえる。
かぶの甘味を生かした、あっさり味のスープです。かぶの旬(春と秋)に登場します。
スープにまつわるディープな話
スープの作り方はタージマハールホテルで覚えました。 自分が働いていたキッチンの隣が「スープセクション」だったのです。 このスープセクションではホテルのすべてのレストラン用に一人のスープ専門シェフが毎日15~16種類のスープを作っていました。 インド料理、中華料理、フランス料理、イタリア料理、ステーキハウス、カフェなどすべてのレストランのスープをこのスープセクションで作っていたのです。 スープだったらなんでもござれというキッチンです。
昔の職人の世界ですから、もし自分がスープセクションに所属していたとしても、チーフシェフはスープの作り方を教えてくれたりはしません。 秘伝の技やレシピは盗むしかないんです。それに、コックの世界では、ある意味そのセンスには年齢は関係ありません。 もちろん、永年修行することにより培われるテクニックもあります。 でも、油断していると、あっという間に新入りコックが、チーフシェフのライバルになる可能性もあります。 ライバルならまだいいんですが、極端な話、昨日までの部下が、今日は上司なんてこともあり得る業界なのです。 そういう意味で、ホテルの厨房は厳しい職場でした。上司は部下に丁寧に、仕事を教えるなんてことはありませんでした。 なにしろ、みんなライバルですから。逆に、かくし味やポイントになる工程は、わざわざ見せないようにするなんてこともよくあります。
私はお隣のセクションで働いていたにもかかわらず、長い間キッチンがお隣同士だったので、スープセクションのチーフシェフの技をしっかり勉強させてもらいました。 私はとなりのカレー専門コックだったので、ある意味チーフシェフのガードも緩かったかもしれません。そんなわけで、専門はインドカレーですが、スープにも自信アリです。