インドのお祭り
ディワリ
ディワリは、ヒンドゥ教で一番大きなお祭りである。10月か11月のどちらかに、2日間にわたって開催されます。 祭りは、インド古来の叙事詩「ラーマヤナ」に由来しています。
ヒンドゥ教の神様、「ラーマ王子」が、継母のたくらみによる父のいいつけで、妻「シータ」と弟と一緒にジャングルに追放されてしまいます。 彼らはジャグルで暮らすことになるのですが、妻のシータがとても美しかったので、 魔王「ラーバナ」に誘拐されてしまいます。ラーマ王子は弟、猿の神様「ハヌマーン」と一緒に、ラーバナと戦い、妻シータを取り戻します。 そして、14年ぶりに無事にアヨッデヤ(西インドの地名)に帰国しました。このラーマ王子の帰国を祝うお祭りがディワリです。
ディワリの準備は大仕事です。まずは家を大掃除します。家の大掃除をするとともに、家の修理をしたりペンキを塗り替えたりもします。 日本のお正月の準備に似ているかもしれません。 そして飾りものや電飾で、家の外や中を飾ります。飾り物はバザールで調達します。
ディワリの1週間前ぐらいのバザールは、飾りものを買い求める人でごった返しています。 また、男性や子供は洋服を、女性はサリー や パンジャビドレスを新調します。靴も新しいものにします。 新しい服を着て、ディワリを迎えるのがならわしです。洋品店や、靴屋さんも大忙しです。
またお祭りには、甘いお菓子(ミターイ)が欠かせないので、お菓子屋さんも大忙しです。 日本で言ったら、バレンタインデーを迎えるチョコレート屋さんのようなものです。 そんなわけで、ディワリの前は、どんな商店も大忙しなのです。
買い物をたくさんするので、ディワリの準備にはとてもお金がかかります。 そのためか、ディワリの当日か前日には、ボーナスが支給されます。 また、甘いお菓子も一緒に支給される場合が多いです。
ディワリの2日間は、家中の電気を昼間もずっと付けたままにします。全ての家がそうするので、その2日間はものすごい電力消費量になります。 また家中のドアをあけたままにします。電気をつけたまま、ドアをあけたままにしていると、お金の神様ラクシュミーが、家にやってくると考えられています。 ディワリの期間、普通に仕事をしている人もいますが、休みにする人も多いです。 特に電力の問題で、工場は稼動停止にする場合が多いです。
ディワリの日は、昼間は普通に仕事をしていますが、夜になったらお祭りが始まります。 まず、陶器にギー(動物性油脂)を入れ、綿をよって芯にしたものに火をともします。 ろうそくのような感じです。それを家の外、家の中に置きます。 これは、ラーマ王子の帰国を祝う灯りです。
その後、「ガネーシャ」と、お金の神様「ラクシュミー」にお祈り(プージャ)を捧げます。 家にある全ての金のアクセサリーと、現金を器の中に入れた牛乳の中に入れて、お祈り(プージャ)を捧げます。 「これは全てあなたからいただいたものです。ありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。」とお祈りします。
お祈りが終わったら、みんなで花火をします。
ディワリの期間は、甘いお菓子を食べます。また、この期間はみなベジタリアンとなります。 ディワリの期間は誰も肉を食べません。お料理は普段より品数が多く供されます。 日本でお正月にはご馳走を食べるというのと似ているかもしれません。
ディワリは子供たちも楽しみにしているお祭りです。なぜなら日本のお正月のお年玉と同様、お小遣いをもらえるからです。
ヴィシュカルマデー
ディワリの翌日に行われるお祭り。道具の神様「ヴィシュカルマ」に感謝する日です。 自分の商売道具に感謝をこめてプージャ(お祈りを捧げる)します。 「あなたのおかげで、私達は暮らしていけます。毎日ありがとう。そしてこれからも私達のこと、よろしくお願いします。」 というお祈りをします。具体的に商売道具とは、例えばコックさんだったら「フライパン」や「包丁」、大工さんだったら 「のこぎり」や「かなづち」などです。
ラクシャバンダン
8月に女性が男性の兄弟に、「私たちのことを守ってください」という願いをこめて、ラキィ(赤いミサンガ)を プレゼントするお祭りです。もらった男性は、お返しに女性(姉や妹)にプレゼントをあげます。 プレゼントは、現金や、貴金属、服(主に民族衣装のサリー や パンジャビドレス)を贈ります。 お祭りの日は、お祝いに甘いお菓子(ミターイ)を食べます。
ジャナムアシュトミー
クリシュナ(神様)の誕生を祝うお祭りです。お寺にお参りに行きます。 クリシュナは夜中の12時に刑務所で生まれたとされていて、お寺では12時にパルシャダが施されます。
パルシャダとは、お寺からありがたい食べ物が参拝者に施されるもので、フルーツ(バナナ)や ハルワがふるまわれます。
ナブラットリー
ナブラットリーとは、「9日間の夜」という意味です。4月と10月の1週間~9日間(その年によって期間が違います)、肉、たまねぎ、にんにくを食べないというお祭りです。 この期間は、食肉用の動物を一切殺しませんし、お肉屋さんは休業します。
シェーラワリマタという、ビジネスの女神にお祈りをします。夜、お寺にお参りに行きます。 そのため、このナブラットリーの期間中、お寺は24時間OPENです。(普段は夜はしまっています。)
お祭りの期間は、肉、たまねぎ、にんにくを一切口にしないのはもちろんですが、1日1食にする人が多いです。 ディワリと並んで、インドでは大きなお祭りです。
ドルーガプージャ
ナブラトリの最終日はドルーガプージャで締めくくります。女神ドルーガにお祈りを捧げるお祭りです。
カルバチョート
女性が夫の長寿を願って、まる一日断食する行事。年に1回、10月の終わりごろに行われるお祭りです。 おおよそ16歳以上のヒンドゥ教徒のすべての女性が断食を行います。未婚の女性は将来の夫のために断食します。
食べものだけではなく、水も飲んではいけません。前の晩に普通に食事をしてから、翌日の夜、月がでる時間まで、一切なにも口にしないのです。
また、手足にヘナのペーストでメヘンディ(ヘナタトゥ)と呼ばれる模様を書きます。 これは結婚式の時にも行いますが、1週間ぐらいで消えるタトゥです。
シブラットリー
2月の終わりから3月のはじめのどこか1日に、シヴァ神とパールバーディーの結婚をお祝いするお祭り。 開催日はヒンドゥ暦で決まっているので、その年によって違います。
まずは家族全員で、シヴァ神を祀るお寺を参拝します。お寺では、生のバング(ハーブの葉)入りのシャルダイと呼ばれる飲み物と、生のバングの葉のパコラが参拝客に振舞われます。
シャルダイは、バングの葉と牛乳、砂糖、アーモンドやカシューナッツなどをシェイクしたものです。
パコラは、バングの葉を ひよこ豆の粉とスパイスを水で溶いた衣をつけて油で揚げるインド風の天ぷらです。 帰宅するとみんなでゴハンを食べますが、このゴハンは肉を使わないベジタリアン食で、この日の食事はこの1回だけという決まりです。
ホーリー
3月のはじめごろに催されるヒンドゥ教のお祭りです。 クリシュナという神様が始めたと言われています。
「みんなで仲良くしよう」「友達になろう」という気持ちを行動で示すお祭りです。 この日はお寺にお参りに行きます。お寺では、バングが振舞われます。
そしてこのホーリーの一番の特色は、色水の入った小さい風船を人になげつけるということです。 投げつけた後は、友情の証として互いにハグします。
この色水は、ホーリー用の粉を買ってきて水を加えて自分で作ります。 昔はピンク色だけでしたが、今はいろいろな色があります。 また、昔は本当に知らない人にも投げつけて友達になっていましたが、 最近では家族や親戚、知っている近所の人にしか投げないそうです。
ホーリーの日は、他のお祭りの日と同様、ノンベジも肉は食べません。 ホーリーの日は、みなベジタリアンになります。 お祭りの定番、甘いお菓子(ミターイ)も食べます。
このホーリーにおいてインド全土で最も有名なのは、クリシュナ神の生誕地とされるマトゥーラブリンダバムで催されるホーリー祭です。 通常、ホーリーは、ヒンディ暦で決められた1日の午前中だけですが、マトゥーラブリンダバムでは、10日間にわたってホーリー祭が行われます。
ベサキ
毎年4月13日に行われます。
北インドで行われる「春の到来を祝う」お祭り。ごちそうを食べたり、たくさんのバザール(出店)が開かれ、とてもにぎやかです。 そして「バングラ(bhangra:インド古典舞踊のひとつ)」と呼ばれる、北インド地方(パンジャーブ地方)特有の民族舞踊を、特有の歌と演奏とともに踊りまくります。
デュシェラ
ディワリの21日前に行われるお祭りです。神様ラーマが、3人の悪者ラワン、メグナット、クンブカラヌを退治したことを祝うお祭りです。 紙や木に書かれた悪者の絵や、大きなハリボテの人形を燃やします。田舎では今でも盛んに行われているようですが、 最近は都市部では火を燃やすのが危険、テロを警戒するという理由から昔ほど盛んに行われてはいません。
クンブメーラ
12年に1回、1月~4月の3ヶ月間に渡り開催されるお祭り。神様が降臨したガンジス川で沐浴をするお祭り。 膨大な数の巡礼者が聖地を訪れることで有名なお祭りである。特に海外のメディアや観光客にはサドゥ(出家者)の 行進が取り上げられることが多い。